すっごーーーーく面白かった
とてもオススメ
副題は「近代日本を動かした霊的巨人たちと霊界革命の軌跡」とある
大体その通りで、本の内容は、江戸時代後半〜終戦辺りまでの日本のオカルト分野の偉人達を、司馬遷「史記」の列伝の如くに書き出していく、というもの
章を設けて大大的に扱っているのが10人、小伝として数ページで終わらせているものが10人である
そのうち私が知っていたのは、前者で長南年恵・高島嘉右衛門・出口王仁三郎(黒住宗忠・金光大神、黒住教・金光教というのがあるのは知っていた)、後者で福来友吉・浅野和三郎・竹内巨麿、であった
私がスピリチュアルとかいう訳わからん世界を覗き始めたのはニューエイジものからであり、まあ多少はアレコレ齧ってみたものの、基本的には日本のスピリチュアルを全然知らないのだなあ、と実感した
明らかに欧米のものよりも知識がない
どうもこの本を読んでいくと、江戸時代後半〜終戦辺りというのは、日本のオカルティズムが百花繚乱に花開いた時期であるようだ
まるで欧米でいう所の心霊主義時代のように、またニューエイジ・チャネリングブームの時期のように
全然知らなかったねえ・・・、眼から鱗だ
心霊主義時代に関しては浅野和三郎とかが概括した本を出しているし、ニューエイジにもジョン・クリモの「チャネリング」(まあ扱ってるのはニューエイジ前半までかな)なんて本があったりするわけだ((本)チャネリング の検索結果 - アラフォー賢者の気ままな引き寄せライフ~第四密度行ったら本気だす~)
しかし、日本のオカルティズムについて、このような概括するような本ってほぼ無いのでは?
そういう盲点をズバリ突いている本だ
そう、欧米よりも日本のものの方がかえって学びにくかったりするんだよなあ
例えば、レイキは元々日本人が発明したものだが、それを学ぼうと思ったら、アメリカから逆輸入したものを学んだほうが早い、・・・みたいな歪みがある
しょうがないんだけど、やっぱ自分の身近なものから知っておくってのが基本ではあるよな、と思う今日このごろ
あと、個人的な大きな収穫としては、スピリチュアル系のサイトを巡っているとちょくちょく出くわす、変に天皇を持ち上げているような態度や、「日本が世界の中心だ」みたいな変にナショナリズムな態度とか(個人の感想です)、のバックボーンが理解できたということだ
そういうのを見るたびに「訳分かんねーな」と思っていたが、一応多少は訳分かるようになった
別に、その説に賛同しようとはあまり思わないけど
◯食行身禄(1671〜1733)
世界の中心である富士山
この頃から世界の中心だとか言ってるのな、すげーわ
「元禄元年(1688)辰の六月十五日辰の日辰の一天」で、世界は「みろくの世」へ
「みろくの世」とは、弥勒菩薩のことでない、「身の禄」のこと
今でも「みろくの世」があーだこーだと言ってる人いるけど、元々はこうらしいよ
◯仙童寅吉
平田篤胤の心霊・霊学研究
霊能を発揮した少年少女が成人すると能力を失うケース
◯宮地常磐・水位・厳夫
道教、神仙道
「世間では作り事の魔物の名を唱えて呼ぶこともある。これらに実体はない。しかし、五人以上が集まってこの名を一時間ばかり繰り返し唱えていると、空中をさまよっている霊が寄り付いて不思議を現すことはある。」
面白いじゃないか
同じことを近年心霊実験でやった例について(バチェルダー、霊的通信についての一疑問 - アラフォー賢者の気ままな引き寄せライフ~第四密度行ったら本気だす~)
◯国安仙人
・以上三人の神通力エピソードは、常識人なら一笑に付すだろう
しかし、私はこれらのエピソードにどれくらいの証拠があるのか知らないが、外国でダニエルダングラスヒュームやサイババがいるのだから、日本に居てもいいじゃないか、みたいな感じにはなるね
この本で紹介されてる人の多くはすごい霊能者という側面が強い
「ヒマラヤ聖者の生活探求」の日本版みたいな感じするよ
私もスピリチュアルを覗き始めの頃はそういうのも結構読んだりしたんだが、今では相当現実に譲歩するような考え方になったなあ・・・
・天狗にさらわれて山で修行したなんて話も、現代においてはUFO・宇宙人にさらわれて別の惑星で生活したみたいな話と同じだろうか?
サムハラ
◯黒住宗忠
この人はニューエイジと親和性高い感じ
また小林正観や斎藤一人辺りと通ずるものがある、というかこの人が元ネタ?
・「心を傷め、陰気になりしより大病なりたれば、面白く、楽しく、翻然して心を養い、心さえ陽気になるならば、病は自ずから癒ゆべきはずなり」
陰気より陽気の方が波動が高いから、健康を引き寄せるよね
辛気臭い心霊主義と比較すると、面白く、楽しく、陽気に、ってのはニューエイジっぽいよね
・「人はみな神の分霊である」というよく聞くものも、この人が言い始めたらしい
これは、ニューエイジの「ワンネス」と親和性高い発想
・「神となるべき」では、我と神とのあいだに隔てが生じる、人はすでに神なのだ
これもニューエイジでよく聞いた発想だ
・手かざしを世に知らしめたのもこの人だそうだ
・本に書いてないが、ありがとうブームの元ネタもこの人だそうだ(『ありがとうブームの生みの親』: ありがとうプロジェクト)
まあ、感謝は一番波動が高いからねえ
「にこにこ先生」、宗忠ほど腹を立てず、アホウのように穏やかな人間はいなかった
これも小林正観っぽいかな
・「世の立替」を声高に叫んだのは大本であり、「先走り」とされた黒住や金光などに、社会の変革という視点は皆無だった
ここらへんの新宗教の流れってのは興味深いが、私はあまり分からないんだよねえ
この本読んで、多少は分かった
・明治維新は、霊的な観点からいえば、天皇家の祖先である天照大神を、力づくで国家神・宇宙の支配神とせんがために起こされた一大革命と見ることが出来る
それが天照大神の意に添ったものかといえば、はなはだ疑わしい
こういう神道系の話がバックボーンにある人にとっては、こういうのが気になるところなんだろう
しかし、こういう観点(日本、天皇の霊的使命みたいな)は半世紀以上前に終わったチャネリングであって、「こんなん2020年現在に後生大事に抱えてる意味はあるのか?」って感じなんだよね
今現在でも続いてて、新しい展開でもあればいいのだけど
そういうのが無いならば、やっぱ「時代はプレアデス人とか銀河連合とかレプティリアンとかだろ!」ってなっちゃう
スピリチュアルは時流が重要だ、と私は結構思ってるので