詳しくは、笠原敏雄「超常現象の捉えにくさ」を読んでね。
19世紀後半辺りの交霊会では、空中浮遊や物資化、直接談話、ラップ音のような派手な超常現象が起こったが、それ以降はからっきし、ESPカードを何回やって何回当てたかみたいな、しょぼい超常現象がメインになってしまう。
そこで、派手な超常現象ってのを起こす方法を作って研究したのがバチェルダー、最近の心霊研究者である。
グループを作り、部屋を暗くして、交霊会のような状況を作ってテーブル傾げをやる、但し全員が普通の人で、霊媒はいない。
テーブル傾げってのは、会席者がテーブルを囲んで手をおいていると、勝手にテーブルが傾く、滑って移動する、というようなもの。
ある種、物が勝手に動くという観点からすれば、こっくりさんとか振り子みたいなもの。
超常現象否定派からすれば、そんなの真っ暗で不正のしやすい状況で、故意に誰かが手に力を入れて動かしているに決まってる、もしくは、無意識的にそうしているだけだ、と言ってくるようなもの。
で、バチェルダーはあれやこれやデータをあげて本当に超常現象が起こったと言ったわけだ。
「超常現象の捉えにくさ」の観点から言うと、超常現象が起こったとはっきり確認できるような状況を作ると起こりにくいとか、初めに誰かが意図的に不正行為をすると続いて本物の現象が起こりやすいとか、そういう研究結果が出ている。
それはそれで興味深いのだが、今回は通信についてだ。
このような実験をしているグループの一つが「幽霊」を作り上げる試みをやった。
まず、クロムウェル時代のイギリス貴族でこんな生活歴で・・・とか勝手に考えて、フィリップなるキャラクターを考案する。
それで、実験を続けるうちに、彼とラップ音で交信できるようになってしまった。
その内、もっと大きくと頼めばラップ音が大きくなり、参加者の歌に合わせて拍子を取ったり、声が聞こえたり(ラウディブ・ボイスのような現象)した。
さらに、中世の錬金術士で秘密を世に残せなかったために現世に戻ってきたという設定のセバスチャンや、ある不思議な治療法の秘密を発見したが婚約者に知らせようと向かう途中で事故死した未来人という設定のアクセルを作った。
アクセルはフランス人設定であるため、フランス語の質問に答えたが、外国語で質問しても返答した。
・・・などなど。
ポイントは、19世紀の交霊会であればおそらく本当の幽霊が来て現象を起こし答えているのだと考えられる所を、彼ら実験グループは架空の存在であり、現象は自分達の潜在意識が起こしていると考えることだ。
これらはラップ音で交信しているわけだが、チャネリングに応用できない話であると、はっきり言うことはできないように私には思われる。
つまり、バシャールでもエイブラハムでも、プレアデス人、銀河連合・・・色んなチャネリング存在があるわけだが、これらの存在が本当にいるというよりも、チャネラーか、もしくはそういう存在を望む人々の潜在意識の力で作り上げているのかもしれない。
仮にさやかに聞いても「私達も含め、無いに決まってるじゃないですか」とか嬉々として言うに決まってるんだけどさあ。