離婚しようとしている夫婦の親たちは、我が子を思うあまり二人の世話をやこうとするが、かえって夫婦問題をこじらせる
我が子を思うあまりってのは、分裂病の息子・娘を心配するのと同じくらい嘘だろう
拡大家族が治療へ参加することは、核家族への「干渉」をやめさせるとともに、建設的な強力を得られることになる
ところが、こうした面接では、長年にわたって拡大家族に隠されてきた葛藤が必ず活性化されてくるものである
かたくなに守られてきた秘密が暴かれてしまうのは亡霊でも見るかのようであり、そこでは自然と緊張感が高まっていく
若い世代の夫婦は自分たちの育った家族から引き継いだ問題を抱えていることが多い
拡大家族を含む面接がもたらす影響は、新たな葛藤を引き起こすだけに留まらず、世代間の相違を表面化させる
それが部分的に解決されれば、それぞれの夫婦が育ってきた家族との関係は改善される
これが夫婦に予想以上の積極的な変化をもたらす
夫婦はどうすれば争わずに済むかを学び取らねばならない
お互いが相手に投げる餌に食いつかないように訓練することが大切である
この困難極まりない目標はそれぞれの個性化が深まり、自己覚知と自己抑制の感覚を獲得して初めて達成できるものである
離婚が成立しても子どもたちがいる限り、真の意味では「自由」は得られない
離婚するんだったら、やっぱり子供ができる前がいいんだろうね
心に残る面接がある
ブルドーザーを盗み逮捕された十歳の双子の男の子たちのケースだったが、二人の非行歴は過去数年間悪化の一途をたどっていた
二人の扱い方をめぐって母親と継父は食い違い、別れる寸前という状態にあった
不本意ながらも母親が前夫との離婚理由を語った時、前夫の解雇理由というのが、なんと盗みであった
子どもたちは実際それを知っていたわけではないのに、父親の行為を真似ることで母親が父親との関係を持たざるを得ない確実な方法を発見していたのである
こういうのは不思議である
・デビットが転職に関して主導権を握ろうとしたことには、二つの要素が含まれている
一つはキャロリンの成長への努力を阻止する試みであり、もうひとつは自分自身のための主導権である
彼は新しい仕事が自分の人生における成長への根源だと考えており、キャロリンが転居の不満を漏らすのは、自分の変化への試みを妨害されることだと感じてしまうのである
二人は真の敵が配偶者でなく、自分が生まれ育った家族から学んだ規則や禁止などの心の閉塞性にあることに気づかない
二週間立っても何の連絡もなく、三周目もそのまま過ぎるかに思われた
予約の電話があったのは、その週も終わりの金曜日のことであった
デビットのやつれ方は哀れなくらいであった
追い詰められて急に老けこみ、疲れきっているように見受けられた
まるで果てしない試練を待ち受けているとでもいうような雰囲気を漂わせていた
ドン「うちでは子供の方はうまくやってるようなんだけど、親の方がね」
デビット「ボストンにいる間には実に不思議な体験をしました。というのも初めはもう離婚かもしれないという考えに脅かされましたが、やがて妻と離れて暮らすことに慣れてきました。これでも何とかやっていけると思い始めました。ところが、元の鞘に収まるという、あの不思議な成り行きになったのです」
デビット「考えてみれば、あの仕事の話自体がおかしなものでした。とても丁重に扱われましたし、先方は私を採用することに乗り気だという印象を受けました。ところが、何か気になるというか、腑に落ちない所があったのです。」
デビット「それから両親のところを訪ねたのです。話が私の就職のことになりますと、度が過ぎるとでもいうぐらい興味を示しまして、根掘り葉掘り聞こうとするのです。引っ越しの即答すら求めかねない勢いには、ほとほと閉口しました」
デビット「両親にしてみれば私を相手に、それぞれ別々に世間話でもしたいという感じなのですが、とどのつまりは相手を貶すことになるのです。母は父を恐れてはいるものの、父のあら探しをしてはこきおろすのです。」
カール「しかし、お父さんもあなたに話を聞かせたがるのでしょう」
デビット「父のほうがずっとひどいものです。はっきりとは口に出しませんが、神経的におかしいということをほのめかすのです。母は心気症というわけなんです」
カール「不安になられて当然ですね。ご両親の治療者役を背負わされているのですから」
デビット「しかも、近々妹達が引っ越すことになったので、いつもより風当たりが強かったのです。しばらく妹夫婦は両親の近くに住んでいたのですが、気持ちの上では妹が母と離れたことはなかったと思います」
カール「つまり、妹さんが無罪放免になる代わりに、あなたに調停役として引っ越して欲しいというのが、ご両親の願いだからですよ」
デビット「実はまだお話していないことなんですが、悪夢のような出来事があったのです。帰宅してから三、四日というもの、毎晩書斎で向こうの会社の書類に目を通したりしながら過ごしました。ところが、会社の理事会名簿に父の名前が載っているじゃありませんか」
やがて一筋の涙が彼の頬を伝わり落ちるのが見受けられた
デビット「なんと裏工作をしていたのは父だったというわけですよ。初めから父が私にこの仕事を勧めていれば、こんなショックは受けなかったでしょう。それがまるで子供でも操るかのように、裏でこそこそ動いていたのですからね」
デビット「この二十年というもの、私は父に認められたいと思ってがむしゃらに働いてきたんです。けれども、これで十分などということは一度もなかったですね。父ときたら、いかに私を操作するかがお分かりでしょう」
キャロリン「話してくだされば良かったのに」
デビット「自分にもそれが分からないんだ。すまなかったね。とにかく、もうたくさんだという感じだったんだ」
私「なんと言っても、ご主人は秘密に事を進めたがる家庭のご出身ですからね」
カール「ご両親を初めご家族に、飛行機でも使ってここに集まるよう手配願えますかな。二度、ひょっとすると三度くらいは家族会議のためにお出ましいただく必要がありそうですね」
拡大家族合同家族面接へ