下巻になってやっと、経済関係の話が本格的に出てくる
ただ、割合で言えば、この本の3/4が経済関係、1/4が凡そ人間の幸福感の話である
上巻同様、この本は特にスピ系の本では全然ないが、ちょこっと絡むかな
特に幸福感の話とか
・人が統計を無視して突っ走って失敗する、ことについて書いてある
自己奉仕/他者奉仕という観点からすると、統計という客観的な指標を無視するというのは自己奉仕的である
一方で、引き寄せの観点からすると、統計なんていうものに引き摺られるようじゃ創造者失格、ということになるだろう
・基本的に人間はシステム1レベルで、利益を得るより損失をさけたいようにできている
人は悪い事を良い事よりずっと詳しく検討するものである
目標に届かない失敗を避けようとする動機の方が、目標を超えたいという願望より遥かに強く働く
人間を含めあらゆる動物は、得をするより損を防ぐことに熱心
バシャールみたいなのが「ワクワクすることをやれば・・・」とか、自己啓発みたいなことをどんなに言っても、いつまでもうだつの上がらない場所に居続けようとする人々が多いというのも、これで納得
・ギャンブルと保険は裏表
可能性0%⇒可能性1%(一億円を手にれる可能性とか)にすること、及び、可能性1%⇒可能性0%(事故や難病に合う確率)にすること、を可能性10%⇒可能性11%や可能性60%⇒可能性59%よりも遥かに重く考える傾向がある
これは、不合理である
・後悔だけはしたくないという恐れ
革新的な治療法があって、そっちの方がいいのではないかと考えている医師も、「上手く行かなかった場合に、深く後悔するだろうし、強く非難されるだろう」と考える
既存の治療法で失敗する代償よりも、革新的な治療法で成功するメリットの方が小さい(利益を得るより損失を避けたいのが人間の基本だから)
スピ系と代替医療ってかなり近い所にあると思うので取り上げたわけだが、こういう心理があって代替医療は広まり難いわけだ
・責任
1本10ドルの殺虫剤(小児中毒15件/10000本)、もう少し安い殺虫剤(小児中毒16件/10000本)、どちらを買うか?
三分のニ以上が「どれほど安かろうと、危険なものには切り替えない」と言って、大切な子供の安全をお金と引き換えにするという考えに憤慨した
しかし、子供を守るために使える時間もお金も有限である
殺虫剤でケチったお金でチャイルドシートやコンセントカバーを買うことも出来る
このようなトレードオフへの抵抗は、子供の安全を最適化したいというより、後悔したくないという利己的な恐れが動機であることが多い(こういう利己心と他者愛の履き違えを自覚してない人が子育て失敗するような気がするね)
これと同じことが、リスク防止関連の法律や規則でも起こる
杓子定規にリスクがあるものはダメとすると何も出来ない
倫理的直感は強力な損失回避性が埋め込まれている
こういう安っぽい正義感はシステム1であり、要するに単なる怠惰である
・アジア病問題
アジア病という伝染病の大流行に備えていると仮定して下さい
放置すると死者600人に達すると見込まれている
プログラムA:200人助かる
プログラムB:1/3で600人助かるが、2/3で一人も助からない
こう聞くと、大体がA選ぶ
プログラムa:400人死ぬ
プログラムb:1/3で一人も死なないが、2/3で600人死ぬ
こう聞くと、大体がbを選ぶ
これも倫理バイアスである