このブログでも何回か言及している笠原敏雄の本
この人は本当にしっかりした思考能力の持ち主で、データもよく調べた上で超能力系のことについて論じているので、非常に参考になる
この本も読んでて、非常に安定感があるね
それで基本的には読む価値のある本なんだが、いかんせん滅茶滅茶高いんだよ
定価16000円
で、恐らくそんなに多く刷ってなくて、かつ、オカルト関係の古本ってあんまり値段下がらなかったりするので、古本でも結構高額になりがち
私は、古本で上手く見つけて5000円くらいで手に入れた
個人的には、一万超えとかだとちょっとお勧めしかねるかなという気がないでもないかな、金銭感覚は人それぞれだけども
めちゃめちゃ分厚いという本でもない、400Pくらい、字の大きさも普通
だから、本当にマニア向けに出版したので、この価格だったのだろうと思う
さて、私は、「超常現象のとらえにくさ」や「サイの戦場」も読んでいる
この二つの本も非常に参考になるいい本であるが、この二つは専ら欧米の超心理学に関する論文の翻訳が載っているもので、笠原敏雄は編者としての立ち位置にある
もちろん、最後に笠原敏雄が議論全体を統括するようなことを書いているけどね
一方で、この「超心理学ハンドブック」というのは、基本笠原敏雄が全部書いている
内容は「超常現象のとらえにくさ」や「サイの戦場」と被る所もややある
だから、超常現象のとらえにくさ、とか、超能力についての批判者の分析、というテーマに関してだけならば、わざわざこの糞高い本に手を出す必要はないかな
これらの2つの本に比べて、この本の価値ある所は、ESP超感覚的知覚、PK念力、死後生存、というテーマにおいて、どのように研究が発展していったのか、ということを笠原敏雄の安定した筆致で読める、という所にある、と私は感じた
あと、付録というか、おまけの章もおもしろかったりするんだけどもね
・清田益章
今や、なんか残念な感じになっているような気がするような、なんかオカルトにかぶれた成れの果てとでも言おうかなんと言おうかというような感じになっている気がするような、この人のことも出てくる
本に書いてあるが、笠原敏雄と何人かで、清田益章を念写とスプーン曲げで実験したんだね
で、不正ができないようにきちんと管理された状況で、本当にできたみたい
ただ「超常現象のとらえにくさ」現象が起こって、スプーン曲げを撮影しているビデオがぼやけたり・止まったりしたそうな
恐らく、世間一般的にはこの人ってインチキやった詐欺師で、そういう駄目なやつだから駄目な人生送ってる、みたいな見方されてるじゃないかなと思うんだけど
私が思うには、一応この時はマジで超能力で出来たということなんだよね
で、よくある超能力者のパターンとしての、なんか出来なくなっちゃいましたってやつ
この流れを見て、普通の人が「ホラ、インチキじゃねえか。超能力なんてあるわけないだろ」って思うのも分からんではない
しかし、当時はマジでできたというのがキモである
超能力全般について、少なくとも一時的には出来たということ、また、どうしてそれが安定して再現できないのか、について関心ある方は、笠原敏雄を読んでいただくとしよう
・死後生存説と超ESP説
死後生存説と超ESP説の対立ってのが超心理学界にはあるそうだ
例えば、レオノーラ・パイパーみたいな霊媒が、亡き旧友の名を名乗り、交霊会の参加者たちしか知りえないことを語る(WIKIより)とかした場合、まあ普通に素直に考えれば、死んだ旧友が幽霊になって霊媒に乗り移るとかして喋ったのだとなるだろう
そうなると、人間は死んだ後も幽霊として存在を続けるってことだわな、そういうのを死後生存説というわけだ
これに対立する超ESP説とは何かと言えば、上記のような例を、霊媒が超スゴイESP能力(超ESP)によってやっていると説明する説である
超スゴイテレパシー能力や透視能力を使って、もしくは、アカシックレコードにアクセスするとかして、交霊会の参加者たちしか知りえないことを語っているだけだ、別に幽霊が語っているわけではない、と説明する説である
で、超心理学的には、この超ESP説を否定しきれない以上、人間は死後も生存するのだとは言い切れないぞ、っていう議論があるんだってさ
個人的には、あまりそこに引っかからないけど
まあ、イアン・スティーブンソンとかがそういうことを踏まえたような研究をしてるそうな
世間一般的には、レオノーラ・パイパーみたいな霊媒がいたとして、「何らかのトリックを使ってるに決まっている」とかそういうレベルだろうから、大分高度な議論である