◯自動療法
小著
この本が、自動療法、自動運動で治療する発想の初めのものなんだろうかね?
「暗示の力だけでなく、肉体的にも作用するから、より効く」という発想
自動運動は自己保存本能の現れと考える
催眠術かけたら、相手が自分で悪いところを揉んだり撫でたり、体操したりした所から発見したようだ
本人は「体が動いてるとはぼんやり分かるが、どんな風に動いてるかは分からない。動くままに任せて止めようとしない」と言う
肉体的な疾患にも、精神的なものにも効く
しかし、当時の悩みも現代人と似たような感じだなあ
・自動状態に入る方法
半趺坐(男子)、端座し足の親指を重ね臀部を両足に乗せ、姿勢を正しくする(婦人)
目は半ば開いて、かすかに鼻先の見えるくらい
手は膝に置き、右は上、左を下
鼻から静かに腹いっぱい吸い、しばらく原の中に貯め、そろそろと口から吐く。この深呼吸を三回
自然呼吸を50回、数える、普通十二分。別に腹に力を入れる必要はない。呼吸を数えている間に無念無想になる
自己暗示。物覚えをよくしたいとか、人前に出るのが怖いのを克服したいとか、心に思う。そして心持ち体を左右に動かす。最初に僅かに意志を使えば、それからはひとりでに動く。練習を積み、慣れてくると、意志なく、呼吸を数えている時に自然に動くようになる。種々の運動が起こってくる、大体5分。
両手の平を胸で軽く合わせ、左右に開くと心に思うと、開いてくる。手の平を膝に置いて、上がると思うと上がってくる。練習すると、心で思わなくとも、合唱すれば左右に開き、膝に置けば上がったりする。そればかりでなく、手が自然と動いて、頭が悪ければ頭を揉み、胸が悪ければ胸を揉み、腰が冷えれば手の平をあてて温め、妊婦の胎児の位置が歪んでいれば揉んで位置を直す
この運動は、人により病気により練習如何によるが5〜10分
・腰の冷えるために小便を漏らす
自動療法で治したそうなのだが、漢方では腎陽不足の証だね
・神経衰弱(記憶力減衰とか、読んでも頭に入らないとか)、気が触れた、酒煙草、吃音、強迫観念ヒステリー、船酔い、小胆厭世悲観(岡田式静坐とか河合式強健術とかやってもダメだった例)、赤面
これらの精神的な性格の強いものも治るという
というか、紹介されてる例では、身体的な病気の例の方が少ないんだよな
催眠暗示の延長って著者は考えてたのかねえ
◯岡田式静坐三年
岡田式静坐に非常に熱心な弟子の本、早稲田大学の教授
当時、岡田式静坐は非常に流行って、有力な知識人も多くやっていた
参考になるメモ:古本夜話143 岡田虎二郎、岸本能武太『岡田式静坐三年』、相馬黒光 - 出版・読書メモランダム
岸本の静坐による体形の変化がその裸体写真に示されている
下腹を鍛えるということで、お腹がぽっこりしてるんだよね
ん〜、これはなんかやっぱり、現代人の美的感覚からすると、格好良くない・・・感じがするのよな
だが岡田は大正九年に四十九歳で急逝してしまう。死因は過労と腎臓病からの尿毒症だった。弟子たちは絶望と狼狽に追いやられ、黒光も日暮里参りを止め、道場は閉鎖の道をたどった。岡田は「不立文字の先生」で、何も残さず、弟子たちも二代目を立てることもなかった。そしてその死によって、「今もって先生の本体を理解することができません」という神秘の彼方へと消えてしまったのだ。
これもカリスマがさくっと死んじゃうと、組織・運動までも全部ガラガラと崩れちゃう例かな
四十九歳没ってのは、この時代でもちょい早い感じかな
死因は過労ということだが、「静坐をやってれば、超人的な体力がついて、過労なんて無いんだ」ぐらいの考えをしてたのだろう、本人も弟子たちも
だから、「弟子たちは絶望と狼狽に追いやられ」た、ということなんだろうねえ
岡田式静坐のやり方や効果が詳しく・・・というか、くどくどと書いてある
半分くらいは単なる静坐礼賛になってる気もするかなあ
心身に良い効果がある、というのはそうなんだろう
ただ、自分で「念腹宗」とか言い出したりし始めると、誇大妄想の領域に踏み込んでるのではないか、という気になる
だから、岡田本人が死んだら、一気に現実に引き戻されたということなんだろう
元々著者は病弱であったのが静坐で健康になったという
体が肥満した(当時は肥満気味の方が健康的だと見なされてた)、歩行が楽になった、冷えやのぼせがなくなる、風邪引かない、肩腰のコリがなくなる、胃腸が強くなる、声がよく出る、痔がよくなる、根気が強くなる・・・
1静坐の姿勢
尻を後ろへ突き出しつつ鳩尾を落とすのが難しい、三つ折りの姿勢(図を見るべし:岡田式静坐法 - がんに克つ)
2逆呼吸
岡田式では常に腹の力を抜かない。普通息を吐く時に腹が凹むので、吐く時に腹に力を入れるようにする
一分に一回の呼吸が理想。著者は一分に二回〜四回
3身体の動揺
この現象はやっぱあったそうだ、ただ療法として利用しようという発想はない
律動は必ず下腹に力が入った時に起こる
瞬きを辛抱できる
これはちょっと面白い効果だ
岡田は瞬きをあんまりしなかったらしい