◯三吉式精神修養法
技法はシンプルだが、背景思想が求道的
修養宗だとか自分で言っている
東洋の心身修養と西洋の催眠を合わせたものという
仏教:倶舎論、円覚経
老子第三章「その心を虚(むな)しくし、その腹を実(み)たし、その志を弱くし、その骨を強くす」
胸部の力を抜き、鳩尾を凹まし心を鎮め、考えない。臍下丹田に力を集めて充実させる。欲望が起こらなくなること。身体壮健になること
普通はこんな解釈しないけど
荘子:踵から呼吸し・・・
気功とかで出てくると思うが、吸う時に、足裏からエネルギーが足を登ってくるというイメージで吸うと何かいい感じである
白隠禅師、平野元良の五事調和法
岡田式静坐法と藤田式息心法(に、この方法は似てる)
第一に誘導法、第二に自修法がある
誘導法は会員が集まって指導者に誘導催眠かけてもらうもの
そこで、催眠にかかってる状態を経験しておく、ということなのかな
自修法、1姿勢、2呼吸、3観念
1姿勢、座り方・腰掛け・起立・仰臥の4つ
座り方:
全身を反り身にならないように、前かがみにならないように垂直にし、両肩をゆるく下ろし、少しも肩のいかることなく、頭は前後左右に曲がらないで正中を保つ、鼻と臍が相対する気分、目を軽く閉じる
胸を突き出さない、鳩尾に少しも力の入らないように。鳩尾の力を抜くのは、少し猫背になる気持ちに工夫すれば簡単
両手は膝の上で軽く重ね、肘を張らない、肩から指先まで少しも力を入れない、足は日常のまま座り、なるべく左右の足の甲を深く重ねる
この姿勢でただ下腹のみ力を集め、全身どこにも少しも力を加わらないようにし、腰で小腹を前に推すようにする
腰掛け:
姿勢は座り方と同じ。なるべく尻を深くかけ、下腹を前に押し出すように、全身・足のつま先まで力を抜く、後ろにもたれかからない
起立:
姿勢は座り方腰掛けと同じ。腰掛けからそのまま身を起こし立ち、そのままの姿勢でただ両手を腰の両側に軽く垂れる。下腹は絶えず緩まないように張り詰めた気分、重心は股の間。歩くのは、この姿勢で両手を軽く前後に揺れ、下腹には力が地面と平行に前へ進む気分。これで歩けば疲れない
仰臥:
起立の姿勢をそのまま倒す、足先を一尺ほど開いて、踵に力を加えつつ、下腹を上に押し上げるようにし、両手は伏せて褥を押す。このようにして10〜20回下腹に力を充実してから寝れば、熟睡できる
2呼吸
呼気も吸気も鼻から、口は常に結ぶ。呼吸は静かに出入する。呼気で空気を吸うのに従って下腹が次第に膨れ、全身の力がただ下腹にのみ充実する。吸うのは吐くのより短く、やや早めの気味。吐くのは吸うのよりも長くゆるやかに保つ。吸った時に充実して張っている腹部をしだいに緩めつつ、息はゆるやかに吐き出され、静かに長く続く。呼気と吸気の間に、少し気息を肺に保つ。吸って、すぐ吐き出さず、2、3秒止めて、その間に下腹にうんと力が込もる。呼吸中、鳩尾に一切力を加えないのが重要
3観念法
一事を思って心を集中
「我が心身の疾病は全く治癒する」「我が心身は強壮健全なり」
吐き出す時「心身の有害物は尽く息に従って排泄してしまう」、吸う時に「宇宙の霊気を吸って、浄化冥合される」、息を数秒保つ時に「必ず心身向上改善する」、と観念する
◯霊術講座
霊術に関して最も網羅的である、という評価だったかと
上中下で分かれていて、催眠術講義・精神感応術講義・精神療法講義となっている
上:催眠術講義
これは、普通の催眠術の解説、歴史や掛け方等
動物に催眠かけることもできる
この本では、しばしば忍術に関して言及があるのだが、催眠暗示やテレパシー的なものも忍術に含まれている、と考えているようだ
ちょっとだけ、千里眼やテレパシーに触れてたりもする
中:精神感応術講義
精神感応とはテレパシーや念力伝達のこと(でも、内容が催眠と割と被ってる)
本会の修養法は、霊気吐納法、凝気法、観想法、気合法、自己催眠法
・霊気吐納法とは呼吸法
正座し、胸式呼吸を20回して、それから丹田呼吸(300回くらいやらないと効果は保証できないという)を20分以上やる
丹田呼吸しながら、一つの観念を凝らす。「宇宙の霊気を吸って丹田に集中し、全身に行き渡らせ体の機能を旺盛にする」とか「一呼吸一呼吸で、頭がすっきりし、悲哀憤怒は一掃される」とか「宇宙の霊気を吸って丹田に集中し、掌から猛烈に放射される」とか
晴れた日の朝、両手の親指と人差し指を触れさせ△を作り、その間から太陽を見て、口をすぼめて陽気を吸う、腹一杯になったら頭を下げ地面にハアーと口を開いて吐く、20回ほど
・凝気法とは精神集中?
残像を見るとか、秒数を数えるとか
・観想法
春の野にいるとか、清流にいるとか観念する
頭上に仙薬があって、頭上から足先まで浸透する、と観念する。軟酥の法
・気合法
ローソクの火を離れた所から気合で消す
霊動術は、正座瞑目合掌し、手が振動してくる、と観念すればいい
自動療法はこの状態で、手が勝手に患部を治療すると観念すればそうなる
この本ではこういう考え方らしい
ただの暗示の延長であって大したもんじゃない、みたいな
静かな部屋で正座閉目沈心し「何何の件は吉か凶か、吉ならば前屈し、凶ならば後反し、努力次第ならば横に屈する」と思念し、精神統一するのを十数分、身体屈伸の方向を見る
一種のキネシオロジーだね
心霊秘法解剖篇
当時、奇術や大道芸のように、「これが心霊秘法だ」と言って見世物をやるのがあったらしい
これに対して、ネタばらしをするという篇
本当にタネや仕掛けがある術もある
だが、体を針で貫くとか、熱鉄棒をしごくとか、熱湯を手の平で受けるとか、刃や釘を渡るとか、火渡りとか、そういうのは催眠の作用として説明されるべきものな気がするけどな
「一瞬だから、少々の時間だから、我慢してやれば平気なのだ」みたいなこと書いてある
例えば火渡りだと、炭を散らして塩を撒いて温度を下げていて、足裏は皮膚が厚いから、大丈夫なんだ、とか
小指で火箸を曲げる
スプーン曲げみたいだね
下:精神療法講義
病は気から、の話がまずある
病原について、透視する方法、手から霊気放射して撫でていくと手が吸い付けられるような所があってそれで判断する方法
透視で病人を見て、患部は黒く見えるもの。それが薄らぎ、消えたら治っている。
遠隔治療でどうしても凝念できないのは、たいてい死ぬ。透視で、形がハッキリせず、ボンヤリしてるのは、大抵死んでるかもうすぐ死ぬ、水を見れば水死、火を見れば焼死
患者に瞑目正座合掌させ、術者は右手中指から霊気放射し、患者の合唱する中指の間に触れる。患者の指がピクピクと僅かに振動すれば、自然治癒能力旺盛なので治ると見て間違いない。
説得療法(催眠状態にいれない暗示)、催眠療法
憑依霊者の治療。催眠で憑依霊の人格を呼び出し、憑依の理由を聞き、願望が「うまいものが食いたい」とかなら聞いてやる。「誰それを殺したい」とかなら、厳然たる態度と威厳ある語調で退去を迫る。それでもダメなら、「今から催眠術の奥義で、お前の五体を苦しめてやる。そら苦しくなってくるぞ」と言って、患者の面に気合を十回ほど連発すれば降参する
霊気放射療法
放射してると、病気のある所に手が吸い寄せられる
霊気充実させるには霊気吐納法など
霊気放射して左右の手を相対させると、かすかな微温、涼風吹くような感がある。中間に板など置いても起こる。他人の手の平にやっても起こる。
霊気を放射し、相手の眉間やのどや鳩尾に指先を近づけ、たぐり寄せると、前に倒れる。後ろに倒すこともできるし、自動運動起こすこともできる
霊気放射は手で伝えるのと唸り声で伝えるのがある。霊気流出の観念を手の平に凝集するのを二分ほどやって治療始める。冬には、手を摩擦し拍手を十数回してから、同じことする。患部小さければ、人差し指中指伸ばし、他の指を握る。患部大きいなら、手の平、両手、徐々に撫擦するのもよい。下腹に霊気放射の観念を持ちながら、病患部を凝視し、口を少しく開いてウーンウーンと低く底力ある長く引くような唸り声を病患部に打ち込む
精神病で、霊気放射すると、極度に苦しむ、嫌う、体内で動く玉のようなものがある場合は憑霊で、強いて施術すれば脱霊する
気合法
深く吸って、全心全霊を丹田に凝集し、「一喝をもって病魔を退散させる、汝の病気を治す」との観念とともに打ち込む
気合をエイッとかける時は、患者が吐き終わり今まさに吸おうとしてる時
病者の正面から眉間に打ち込む