アラフォー賢者の気ままな引き寄せライフ~第四密度行ったら本気だす~

気ままにスピ雑談、多少は人が見て勉強になりそうなことを書いていく

(本)ブライス家の人々 家族療法の記録、その十七

私「奥さんが悲しまれるのも不思議なことではありませんよ。ご両親を亡くされたのを初め、ご主人にはもっと一緒に居る時間を作りたいという夢も砕かれてしまったし、今度は母親や祖母の役まで取り上げられてしまうことになりますよね。本当に一人ぼっちだなという気がしますよ」

デビット父「家内は人に頼りすぎるように思いますね。ちょっと気が許せば、私にしがみついてくるのですから。まるで・・・まるで蛭みたいなものです」

私「相手を攻めるという点では同じことをしておられますよ。ご自分のことをお話いただけませんか」

デビット父「こんなことがキャロリンにどう関係するのか、さっぱり分かりませんね妻との間には問題はありますが、なんとかやっているのですから」

私「クローディア、君は前にもこんな言い争いを聞いたことがあるかい」

クローディア「両親の喧嘩とそっくりだわ」

デビット父「本当にそうかい」

私「誰だって自分の家族から受け継いだ課題を解決しようとするんですよ。その一つのやり方が大人になってから自分の家族を持つ時に、昔に教わったことと同じことを繰り返してやってしまうものなんですね」

デビット父「それじゃ、私たちはあの二人にどうしてやればよいのですか」

カール「ご夫婦が仲良くなれるのなら、デビットだってお二人を救うために、遠くへ引っ越さなくてもよいかもしれませんな」

デビット父「私たちを救うですって、意味が分かりませんな」

カール「デビットはトラブルがあるのを察して、力になりたいと思っているのです。今度の仕事の話で、息子さんを自分たちの側へ引き寄せる、良い口実を見つけられたというわけですね」

カール「もっと奥さんを構ってあげなくてはいけませんな。あまり気持ちが沈んでおられるので心配していたのです。近頃奥さんがどのように死ぬかと想像していたと話されても、それほど驚かされなかったでしょうね」

デビット母「実はずっと死ぬことばかり考えていたのです」

カール「重大な出来事というものは、そういう起こり方をするものですよ。私たちは死ぬことだって自分の意志で決めてしまうのです」

何だコイツは?

悟ってんのか?

 

カール「今日お二人にはずいぶん無理なことを押し付けて申し訳ないと思っているんだが、それもわれわれがデビットと同じことを感じたからだと思うんだよ。つまり、ご両親が本当に危機に直面しておられるっていうことなんだ。そうでなければ、デビットは奥さんを失ってまで、引っ越すなんて考えないだろうからね」

 

自分の両親を交えた面接は、デビットにとっては重大で、画期的な出来事であった

デビットは本当の意味で「患者」になることを決心した

それ以来、彼は面接に来ることを待ち望むようになり、酸化の度合いが深まるに連れて、ボストン行きの話はすっかり影をひそめてしまったのである

その後、デビット父母はボストンで別の家族療法家の下で面接を続けることにした

 

・カールと私は人は知らず知らずに自分の無意識のニーズを満たしてくれそうな相手を、驚くほど正確に配偶者として選んでしまうという確信を持っている

 

何はともあれ、デビットとキャロリンの関係は、生き生きと蘇りつつあった

治療はデビットの両親を交えた面接の後も、約八ヶ月間続いた

二人の関係は非難しあうものから、いくぶんかは内政的なものへと変化していった

面接時間の大半はデビットかキャロリンのいずれかのことに費やされた

その意味では、二つの「個人面接」が同時に進行する治療形態になっていた

子供は自由参加という形態に変えた

「個々の問題に焦点を当てながらも、夫婦にそれを共有させる」方針で治療に臨んだのである

こうした合同面接は、夫婦間ではそれぞれが治療的な立場をとらないという不文律を、より認識させる結果をもたらした

手を貸さねばならないという思いから開放されたこともあって、ゆったりした気分でそばに「いられる」ようになった

擬似的な親の役割を果たすよりは、むしろ人生の良き道連れになっていた

 

キャロリンは実家を何度か訪れ、両親と個別的な話をするように努力した

母親とは時間をかけて複雑な手紙の交換などをしていたが、われわれとしては直接キャロリンの家族と接触できなかったことが悔やまれた

 

デビットは面接に退屈し始めてきていた

デビットがいつごろどのような形で治療から抜け、キャロリンには希望通り個別面接を続けることを決めたのか、私にはよく思い出せない

デビットは万事うまくやっていたし、結婚生活も順調だった

キャロリンは私を治療者として選び、面接は二ヶ月間続けられた

長年周期的なうつ状態と戦ってきた、キャロリンは何の前触れもなく襲ってくる、陰鬱な気分に呑み込まれてしまいそうな恐怖にかられていた

状態がずっと安定してきたので、治療を終了することにした

幼児期に親から深い傷を負わされたものは、生涯鬱状態に悩み、戦わねばならないこともあると自覚していた

だが、今ではその問題の背景を理解し、それに対処する方法のあることも感じ取っていた

拡大家族面接に来ないような両親なので、キャロリンの方が病が重いのではないか、という気がする

 

しかし、まあ、「娘が分裂病で困ってるんです」ってところから始まり、随分遠くまで来たもんだ

こんなこと、娘個人にフォーカスするような治療法で可能だろうか?

また、娘個人にフォーカスするような治療法は適切だろうか?

ここまで読んでくりゃ、それがいかにナンセンスか腹の底まで分かっただろう、と思う