特にスピリチュアルな話というわけではないが、心理的な問題が人生の困難を作り出すという認識において、スピリチュアルと心理学ってのは共通してると思うわけだよ
訳者あとがきより
家族療法のバイブルと称され、精神保健領域に関わる世界中の人達が愛読している名著である
私としても名著としか評しようがない
この本は実際の面接の記録だが(細かい所は変えてるだろうけど)、事実は小説より奇なり
下手な小説の・・・いや、上手い小説の百倍くらいおもしろい
専門家は言うに及ばず、家族の問題とその解決に関心を持つ人にとっては必読の書と言えよう
一応世の中には教育とかというものがあって、教養と称して、色々と詰め込んでくれる
が、まあ、多くが人生に置いて役に立たない
そして、逆にこれを知らないと困るだろってのは割と教えてくれない
そのような状況の中で、こういう本こそ真の教養であり、誰でも知っておくべきだと考える
だって、家族と関わらずに生きる奴なんていないんだから
できれば結婚前に読んでおきたい
元農水事務次官長男殺害事件というのがあった
まだ覚えている人も多いと思う
中々おもしろい家族ショーだったね
あの件に関しては、色々とつまらない人達がつまらないこと(例えば、息子の頭がおかしいのが原因だ、父親は出来る限りのことをした、等。あと、特に、「ショッキングだ」とかいう白々しい感想)を言っていたけれども、裏で働いている仕組みが分かればとても楽しめるものだ
時代の流れからして、これからもこういうおもしろい家族ショーは増えていくだろう
それらを楽しむための手引書としてこの本を推薦する
父デビット・母キャロリン・姉クローディア・弟ドン・妹ローラの5人家族で、姉が荒れて、精神科医にかかり精神分裂症と診断される、しかしそこで治療していても状態が悪化していくので、家族療法家の元へと紹介された
家族療法家は、著者のオーガスタス・Y・ナピア、とカール・A・ウィテカー
カールがベテランでナピアは新参者
姉が落ち着くと、弟に問題が出て、弟が落ち着くと、母に問題が出て、父に問題が出て、父方の祖父母に問題が出て・・・
・初回の面接にドンが来ない
キャロリン「問題の人物はドンではありませんのよ。問題はクローディアに関することなんですから
私(ナピア)「あなたご自身がそのように問題を見ておられるということですね。われわれはもっと幅の広いものだと考えているのです。どうしても家族全員に参加して頂かなければなりません」
カール「ドンは自分のためだけに行動しているのではないのです。息子さんは皆さんによって家に残る人物として選ばれたのです。ご家族が問題に全神経を集中させて火花を散らさなくてもすみますし、われわれがご家族全員と会うことをどれだけ本気で言っているのか確かめられますから」
私にはこの「病気」の娘に焦点を絞ろうという夫婦の完全な無意識レベルの合意を守るために、これまで戦ってきたことが分かっていた
両親ともクローディアには強い「関心」を示してはいたが、それは真の愛情ではなく、一皮剥けば容赦無い攻撃そのものであった
家族全員を治療に連れて来て欲しいと頼んだ時、皆はそれがどういう意味か直感的に理解していたと思われる
家族全体がその愛情や歴史、怒りや不安などすべてをあらわにされる
他人の詮索と侵入に身を晒さねばならない
それはあまりにも苦痛なことなので、家族自体に備わった無意識の知恵が、ドンを家に留まる人間として選び、治療者達を試すことにしたのである
家族はシステムとして存在するという現象を理解するには長い道程が必要である