・激痛の場合にはモルヒネ52%、偽薬40%の患者が軽快
中等度の痛みの場合にはモルヒネ62%、偽薬35%の患者が軽快
軽度の痛みの場合にはモルヒネ77%、偽薬26%の患者が軽快
・さらに、薬と偽薬の効果は重なるというよりむしろ相互に作用しあう
偽薬反応者ではモルヒネに反応する比率は95%
非偽薬反応者ではモルヒネに反応する比率は55%
精神分裂病を精神安定剤で治療すると、再入院の比率は、偽薬反応者では20%、非偽薬反応者では80%
・2種類以上の薬品を対象にした二重盲検法では、偽薬の価値は最も効力の強い薬物によって決定される
・アンフェタミン(興奮剤)摂取で、被験者は実験者の教示に従って、興奮もしくは抑制を報告する
抱水クロラール(抑制剤)も同様
LSD常用者がLSDと思い込んで偽薬摂取すると典型的な幻覚体験する
LSD常用者が偽薬と思い込んでLSD摂取すると何の効果もない
LSDってこんなもんなの?
幻覚体験なんて気合で出来そうじゃん
・1966、分裂病の治療で、クロルプロマジンが偽薬よりも有意に効果的だと明らかにされた
その後の研究では、薬と偽薬の効果は相対的には同率だったが、双方の絶対的効果は低下
強力な「驚異の」新薬に対する期待が弱くなっていったからだろう
偽薬を投与されているのに向精神薬を服用していると判定者に見なされると、さらに強力な臨床効果が得られる
逆に、活性役を投与されてるのに、患者と医師が偽薬だと思い込んでると、芳しくない臨床効果
治療者の確信は治療効果を持たらす有力な要因
・偽薬効果を自然寛解とみなす説に対して
鬱病治療で鬱の標準偏差が、無治療0.35、活性薬1.54、偽薬1.12
つまり、23%自然寛解、27%薬、50%期待、であることを示す
偽薬鎮痛剤、精神安定剤、刺激剤、アルコールも同様
・被験者が実験者を喜ばせようとしているだけ、という説に対して(偽薬効果の多くは自己報告ゆえ)
ナロキソン(鎮痛抑制)注射で痛みが減少したという自己報告
偽薬で、喘息患者の気管支が収縮したり、広がったり
偽薬の刺激剤での自己報告に基づく覚醒水準について、心拍数や血圧の有意な上昇がある
偽薬アルコールも同様
・古典的条件付け(パブロフの犬のような)とする説に対して
アルコールによって起こる反応(認知運動障害とか)は偽薬アルコールでは起こらないし、偽薬アルコールによって起こる反応(欲求の高まりとか)はアルコールでは起こらない
偽薬アルコールの効果はアルコールの薬理に従うわけでなく、文化圏ごとに異なる信念に特有
同様に、偽薬カフェインが運動能力に及ぼす影響は、その人の信念による
古典的条件付け理論によれば、条件刺激のみ繰り返すと、反応がなくなっていく
一方、偽薬効果は長期にわたって継続することがある
偽薬を8週間投与しても、パニック障害に対する効果は減らなかった
関節リウマチに偽薬治療師て、30週効果が持続した
・精神安定剤として投与された偽薬は、刺激剤として投与された偽薬とは成分が同じでも異なる効果をだす
副作用も被投与者が何を知っているかにより異なる
偽薬による望まれざる副作用は、偽薬効果は希望や楽観的態度で起こるという仮説に難題を突きつける
陽性と陰性が同一人物に発生することは、信仰や信頼、希望、治療関係で偽薬を説明する仮説で説明できない
・偽薬による痛みの減少は、全身に影響する仕組み(不安の減少やエンドルフィン放出とか)で説明できない
局所麻酔剤を装った偽薬で効果が出た
これとナロキソンが偽薬鎮静剤の効果を抑制することをどう説明するか⇒偽薬はそうした名称の活性薬の効果を真似る
全身麻酔剤として偽薬投与された場合のみ、エンドルフィン放出を伴うはず
これって結構すごいこと言ってるよね
・広場恐怖症の人は広場を恐れているのではなく、それによって予期されるパニックを恐れている
それが悪循環して結局完全なパニック発作が起こる
それ以外の恐怖症も予期不安が重要な原因である
鬱の人は鬱が続くことを予測して、それに対して落ち込むのである
鬱の症状の一つの貧困妄想というのがあるが、あれは本質的に「鬱がずっと続くだろう(だから働けない、お金に困るだろう)」という予測である
鬱病の妄想(三大妄想:罪業妄想・貧困妄想・心気妄想)って興味深いよね
鬱は波動的に最悪だが、逆に無罪妄想・裕福妄想・健康妄想を持つならば波動的に最強なのだろうか?
偽薬によって鬱が治るという予測が生まれ、鬱が続くという予測による落ち込みは確実に解消するかもしれない
・偽薬効果を生み出すのは、条件刺激と無条件刺激の組み合わせでなく、その期待である
偽薬効果は、反応予期の自己実現性
心で、一般常識を超えて相当体をコントロールできるということだ