1780年以後の文学芸術の歴史を見れば、この吸血鬼との戦いの後が分かる
厭世主義を拒んだ芸術家は殺された
人生を罵ったものは相当の高齢まで生き延びている
性的堕落者サド侯爵/性的神秘論者ロレンス
この宇宙にはわれわれと同じような種族がいっぱいいて、進化しようともがいているのではないか
進化の第一段階では、周囲を征服し、敵を倒し、食べ物を確保すること
しかし遅かれ早かれ目を内側へ・・・心の喜びに向けることのできる日が来る
そして自分の心が広大な未知の国であると悟る時、人間は動物と神を分ける境界を超えたことになる
ところで、吸血鬼は、この進化の一点に達してもう少しで新たな力を得ようとしている種族を見つけるのが得意で、見つけたら最後、その種族を殺してしまうまで餌食にするのではないかと思うのだ
しかし、殺すのが目的ではない、また別の宿主を探さねばならないのだから
狙いは、進化しようとするもがきから生じるすさまじいエネルギーをできるだけ長く食い物にすること
したがって、彼らの目的は人間に心の世界のことに気づかせず、注意を外へ向けさせることだ
二十世紀の戦争は吸血鬼の計画的なたくらみ
ヒトラーもまず間違いなく<手先>
完全に破壊的な世界戦争は彼らの目的を助けるものではなく、絶えず小競り合いの起こるほうが具合がいい
ここらへんを読むと、コリン・ウィルソンは分かってて書いたんだな、という気しかしてこない
この寄生体はわたしの心の中に巣食っていると前に言ったが、今それが私に部屋の中にいると言うと、いかにも矛盾しているように聞こえるかも知れない
ある意味では、普遍的な心と普遍的な時間空間は同じものなのだ
彼らが四六時中人間を片っ端から監視しているわけではないことは明らかだ
寄生体が周囲にいない時に簡単に回復できるのではなかろうか?
人間はいったん精神寄生体に鳴らされてしまうと、年に一度か二度手入れをしさえすればいいようになってしまう
人間はたがいに鳴らしあって逆に精神寄生体の仕事を手伝っているのだ
生活態度は子供に伝わる
厭世的な作家が全作家に影響を及ぼす、国中の教養人に影響を及ぼす
社会全体が精神寄生体の仕事を手伝っているのだ
「感情」が認識の一つの変形に過ぎない
精神寄生体が故意に過剰を「ぼやけさせる」としたらどうだろう
経験からはっきりと学び取ることは出来ない
寄生体の狙いは人間が最大限度の力を身につけないようにすることだから、精神的な霧の中を彷徨するように感情を曇らせてしまおうと言うのだ
彼らは地球の重要な人物の心を巧みに操縦する
トルストイは「戦争と平和」で、歴史の上で個人は端役を演じるに過ぎず、歴史は機械的に動くものだと喝破した時、この真理を垣間見たのだ
ナポレオン戦争の主人公たちは全て機械的に動いている・・・言わば精神寄生体の手で動かされる将棋の駒に過ぎない
彼らは科学者達にひどい不安感を与え、科学を「客観的知識」だとまじめに考えさせるようにした
シューマンやヘルダーリンは狂気へ追いやられ、ホフマンはアル中に、コールリッジとド・クィインシーは麻薬中毒者にさせられた
この小説は処女作「アウトサイダー」を創作形式で書いたものだという
アウトサイダーの脆さは精神寄生体の攻撃だというのである
そして、精神寄生体が居なければ、人間には物凄い天才と楽観主義があるというのだ
男性はある一人の女性が性的満足感を与えてくれると信じて、自分の女になってくれと口説く
が、それを寄生体が邪魔して、その男性はエネルギーを性行為に集中することができなくなる
彼の方は依然として満足が得られない
そのために二つの結果が生まれる、さっそく他のじょせいを探しにかかる、もうひとつは性的倒錯
カシオペアンによると、セックスのエネルギーも吸ってるらしい