◯精神統一心理実験
ライトな語り口の面白〜い本
語り口も面白いが、内容もしっかりと面白い
まあ、「心理実験」とは催眠術実験みたいな感じ、必ずしも相手をしっかりと催眠状態にするわけではないが
なんか民間精神療法界の人は教職の人が多いねえ
この著者もそうで、色んな学校に出向いて実験を披露したり、教職関係の人と一緒に実験したりしてる
「精神統一」というのは、暗示に反応する状態のことだが、これに入る練習をしばしばすることによって、勉強ができるようになると言っている(学校で講演してたりするので)
精神統一とは注意の極度
・プランセット
どういうものか説明しにくいね
西洋版コックリさん「ウィジャボード」の誕生と流行/初見健一・昭和こどもオカルト回顧録|webムー 世界の謎と不思議のニュース&考察コラム
上の記事の一番下の写真の、鉛筆を取り付けたブランシェットというのがこれである
こっくりさんの自動書記バージョンのようなもの
二人が板に手を添えて、第三者が動けと命ずる
動くのは心の集中、注意によって動くのである
「そら動かないか、まだ文字がでないか」と焦るのは注意でない。雑念を鎮め、ただボンヤリと動くと思ってればよい。
この実験を練習した人は、読書聴講にもよく注意をまとめることができる
学校で講演して、こういう風に言ってたようだ
一人出て「僕の年齢は?」と聞くと、的中するとは限らない。添え手の人の想像に過ぎない
熟達すると必ず的中する。感通(テレパシー)の働き。年齢を当てさせようとする人が強く思っているのが、添え手の人に感通する
当てさせようとする人が思い定まらないと、ブランシェットも動いたり止まったりする
だから、著者の考えでは、添え手及びその場にいる人の知ってること以外を書くことは不可能という立場である
まあ、優秀な霊媒ならば、そんなことはないけどね
あっさりテレパシーは認めるのに、本の後半では千里眼も認めてるのになあ
プランセットに触れると和歌を書く人
習ったこともないのに、見事な和歌を作る
プランセットに名前を付けて、実在のキャラクターのように扱うと、そのような返答をする
これを一二歩進めると、フィリップ実験になるね
プランセットに触れると匠に和歌を書くのは、無意識に化せられたから(親戚に歌詠みがいたとかで)
心霊主義の欧米の例で、自動書記で見事な小説書いたりした人がいたかと
「無意識に化せられた」では、説明として弱いケースがあるんじゃないかな?
プランセット実験をやると、無意識感化の結果が出るのは、精神が統一してるから
精神統一すると、平日気が付かないことも浮かび、よいことよくないことの考えもつき、学生としての成績も自然によくなる
プランセットを芸者に与えたら、4日目に青くなって返してきた。書くことがよく当たる(その場にいない人のことを当ててるんだけど)。女将が「狐に違いない」と言った。「狐ですか」と問うと、「狐だ」と書いた。「揚げを召し上がりますか」と問うと「だいすき」。プランセットを神棚にのせ、揚げを供えて、皆で礼拝した。翌日になっても3日立っても揚げを食べない。(変な考えだ。プランセットが揚げを食べたらそれこそ大変だ)。神棚に神様の札があるので、「神様を恐れて揚げを召し上がらないのですか」と問うと、「神様が怖い。早く宿へ返してくれ。返してくれないと、商売繁盛させてやらないぞ」と書いた
解釈によっては、所謂「低級霊が降りてきた」みたいな感じかね?
初めて扱うには、手を載せても目を注がないで、二人共目を閉じて上を向くがよい。目を開けてると、プランセットに目が行って、「まだ動かないか、文字が現れないか」と思いやすい、雑念である。目を閉じても、下を向くとプランセットに目が行きやすい。初めに動き出すと、後は確かに動くとの信念と習慣で、目を開いたままで容易に動く。
添え手は一人でも複数でもよいが、二人が都合がいい。二人の手は釣り合いが取れて無ければならない。一人の手が重く感じるようではいけない。
まず丸、それができたら三角四角を書かせる
まず一、次に十、次に四五六とか書かせる
手を載せて動くのはプランセットでなくてもいい。問いに対して、右に動くとこうだ、左に動くとああだと決めて、動きが答えになる
プランセットの実験を勧めはするが、その書くことを皆信じなさいとは言わない
休職軍人「自分は金を得られるかどうか」、「五年間に五万円(昔なので大金)得させてやる」と書く。大喜びだったが、その子供が誤ってプランセットの足を折った。建具屋に修繕させ、御膳を供え、神職にお祓いしてもらい、その後手をのせて、「子供が失礼しましたが、お気に触りませんでしたか」、「気に触った」と書く。「五万円は如何でしょうか」、「五万円は得させてやるが、五年間に子供の命をとってやる」と書く。軍人は発狂して、病院の厄介になった
・静坐精神統一法
学生諸君が実行なさると、成績が良くなる
丹田が凹むのは疲労の状態、よくない。むやみに丹田に力を入れて張りだすのも、不自然でよくない。張りだしふくらませるには及ばないが、凹まないように。それには、踵を重ねる(片方の足甲をもう片方の土踏まずに重ねる)のが一番良い。しかし、慣れない人は足が痛くて困る。だから、指が向かい合うようにする(片方の親指をもう片方の親指に重ねる)がよい
目を閉じて、両手を丹田に置く(図では、指を浅く組んで、下腹を押さえる感じ)。丹田に心を向ける。そして身体が左右に動くと信じている。すると身体は次第に動く。観念運動。
身体が動き出したら、しばらくやってるうちに他のことを全く忘れて、三昧状態。何らの雑念もなく、外的刺激に応じない。
静坐をやっていれば、精神衰弱にならない、またはそれが治る
無念無想に時々入り、そして普通状態になって勉強するならば、時間短くして、よく成績を上げる
私が導くには、数名数十名を一緒に座らせる。1、2分で動く人もいる、動かない人もいる、感じの悪い人。「もっと動く」としきりに言うと、感じの悪い人もだんだん動く。よく動く人の間に座らせると、感じがよくなる
・狐狗狸
現代人の思いつく「こっくりさん」とは違う
大きいプランセットの鉛筆が普通の棒になったものと考えていい
もしくはテーブル・ターニングの、三足の、小さいものと考えていい
狐狗狸は古い昔から日本で行われたものと多くは思っているが、ペリーが来た時に、乗組員が教えていったもの
足を上げて、人の年齢や子供の数を当てさせる
動くこともある
また、三択でどの足があがるか、とか
・マジック・ペンデュラム
これも現代人の思いつく普通の振り子ではない
長い糸を天井から吊るして、下から二尺ほどのところを指で挟む
・硬直状態
催眠術のヒューマンブリッジ
仰向け、頭から足先を真っ直ぐに、趾を上に向け、踵で床を押すようにし、両手は身体と平行にし、手の平を上に向ける。鼻で呼吸すると、丹田呼吸の具合がいい。趾を上に向け、踵で床を押すようにしないと、丹田呼吸が十分でない。手の平を上に向けると、胸が開いて、よい気持ち。それから目を閉じる。私が「あなたの足が伸びます」と言っても、伸びるか疑ったり、求めて伸ばそうとしてはいけない。私の言うことを信じて、伸びると思っていれば良い・・・
で、これを他の人で持ち上げて、2つの椅子の上に乗せる
椅子と椅子の間は空。上へ人が二人くらい乗っても、下の人は平気
秘術者が意を用いて伸ばしていると、椅子に載せられると、肩が痛くてたまらない
これを故意にやるのが、偽霊術家である
硬直状態で脚気・リウマチ・神経衰弱なども治る
硬直状態の実験やったら、実は被術者が脚気で、それ以来脚気が出なくなった、という
自分でもできる。身体を強くし、記憶力が良くなり、精神の統一ができる
・身体支配
普通の催眠術
丹田に力を入れて発した言葉は人に強く響く
「あなたの頭と肩は床にくっついて起き上がることは出来ない。・・・さあ、起き上がってご覧」という具合で使う
・飲食変味
親が食に贅沢で小言を言ってると。子供もそうなり、味に問題ないものをまずく感じやすくなり、好き嫌い多くなる
・風景、その他のものを見せる(幻覚)
気を晴れ晴れさせて、沈鬱を治せる
また芝居、活動写真、奇術なりを見せ、楽しませることもできる
芝居にふけるのを矯正するのに、実際の芝居よりも面白く実験中において見せて、実際の芝居は面白くないと思わせ、芝居を見に行くのを止めさせる
「実験で教徒なり奈良なりを見せるならば、実際通りを見るか?」。多くは被術者の想像。記憶が働けば、実際に近い。被術者は行ったことないが、施術者は行ったことのある場所なら、感通作用で実際に近いのを見ることがある。
とか言ってるけど、普通に遠隔透視は存在するだろう
複数人同時にこの実験をできる
・読筋術
人を座らせ、目を手ぬぐいで覆う。ある方向に物品を置く。誰かがその人の額に指一本のせて、物品のある方を強く思う
テレパシーである
精神統一の練習として必要な実験。「そんなことをして時間を潰すよりも勉学する」というは勉学に忠実だが、これをやった後に勉学するほうが、時間短くして結果は良くなる
目を覆う人が間違った方向に行っても、「失敗だ」「いけない」とか思わないで、強く物品の方向を思う
・テーブル・タアルニング(テーブル・ターニング)
心霊主義でよく行われていた
暗い部屋でないとできないと言うが、そんなことはないという
心霊主義で起こった数々の不思議な現象については、実際に見てないから分からないが、幻覚だろう、というのが著者の立場
まあ、催眠とかで幻覚を見せるのは簡単にできてる人なわけだしね
・夢
常識的なことで夢の内容を説明できるのもあり、テレパシーや予知や千里眼もあり
催眠させて夢を見させるという実験をやっている
・霊術の解剖
偽霊術の種明かし
しかし、にたようなことを本当の霊術でできると著者は考えてたのだろうか?
針を刺して無痛なのは本物があると認めてるが、熱いものに触れても火傷しないとかはきちんと認識してるのだろうか?
◯臨床暗示清水式心理療法
著者の工夫がしてあるそうだが、基本的に催眠術治療
子宮病患者には頭痛眩暈耳鳴り手足の冷えがあるのが常。そこで、「頭痛は治った。耳鳴りはしない。眩暈はない。手足は不思議と暖かくなる」と暗示を与えても、多くは治らない。本源の子宮を治してないから
呪文を唱えてやけどを治すのが得意な老婆が居た。その呪文は「大麦三升四升五合」というもの。ある日、僧侶がこれを聞き、「それは金剛経の応無所住而生其心(おうむしょじゅうにしょうごしん)の誤りだから、これからそう唱えよ」と言った。老婆は改めたが、以後ちっとも効かなくなった。福来博士の「催眠心理概論」に出てくる話
正しくは「大麦小麦二升五合」?
ネットで調べると、色々な見方があるようだが、この本での主意は「他人を治療するのに、自分の信念がしっかりしていないといけない」ということである
なんか仏教の人がこの話を持ってきてつまらんことを言ってるのが多いので、注意しておくと
汎神でも一神教でも多神教でも構わない。一心こめて祈祷し、信仰深くなれば、きっと神と冥合しうる。
絶対宗教であるキリスト教を信じなくてはならぬとは言わぬ。幽玄高遠なる仏教を奉ぜよとは言わぬ。これを神学的に言ったら、無価値のものであってもいい。いやしくも神とし仏としこれを深く信仰するならば、その対称は何でもいいと思う。稲荷可なり、不動可なり、鬼子母神可なり。教理教義がいかに高遠幽玄であっても、これを信じることが至らないとすれば、イワシの頭を一心不乱に信仰する方がいかに優っているか知れない。
信仰対象や教義は二の次であって、信仰すること自体が最も重要ということだ
心理療法は有線電話のようなもの。心霊治療は無線電話のようなもの、被術者の精神を通さないで病患部に電波を送る
社会における道徳や衛生において、マイナスの暗示が溢れていることを憂いている