題名の通りだ
コリン・ウィルソンはめっちゃ本を出している(この評論が出版された時点で60冊くらい出してる)
それを全部読むのは大変だ
けれども、コリン・ウィルソンはどういうことを言っているのか、ということを全体的に知りたい、という場合に役に立つ本
著者はコリン・ウィルソンに心酔しているようで、全体的にヨイショしている感じだが、内容充実して、きちんと役に立つかなと
目次として、哲学/心理学/性理論/犯罪論/オカルト/文学論/小説、に分けてある
著者によれば、このように多岐にわたる分野について書いていながら、一本の筋を通している、と言う
・哲学/心理学/性理論/犯罪論に関しては、イマイチ私が思ってた程ではなかったな(勝手にハードルを上げていただけなんだが)
特に、家族療法の本を読んだ後だったりするとね
例えば、実存主義文学のサルトル「嘔吐」ってのがあるが、この世界観が「デボラの日記」というある分裂病者の書いた本とよく似ていたりする(家族療法は精神分裂症の研究が発端)
コリン・ウィルソンは、時代精神や社会精神、また個人精神について饒舌に語るんだが、家族精神とか家系精神とかには全く触れない
当時、そういうのに触れている知識人はほぼいなかったんだろうと思うけどね
私としては、それなしであれやこれや考察を進めても、何か明後日の方向行ってる感じかなあ、という気がした
・一方で、これは思ってたよりも面白そうだってのもあって、オカルト分野である
コリン・ウィルソンはなんかの分野を広く浅く勉強するみたいなタイプに思えるが、それがいい方向に行っている
普通の人がオカルト分野に興味持っても、中々全体像をつかみにくい
それをコリン・ウィルソンが肩代わりして、さらにその中で面白いものを紹介して、それなりの考察を付けてくれるようだ
ウィルソンの言う「アウトサイダー」は必ずしもオカルティストではなく、またオカルティストは必ずしもアウトサイダーではない。けれども、社会の中に完全に埋没しているインサイダーは実在の世界に向かうこと無く自己分裂しがちであり、オカルトとは無縁の傾向が強いというウィルソンの主張は注目に値する。一方、群衆の中で自分を見失わないようにしている人(これはアウトサイダーの特徴の一つである)は一つの目的に向かってまっしぐらに進むひたむきさを持っており、このひたむきさはオカルト現象を経験するための基本的な条件である。
卓見だと思う
追
カシオペアンのチャネラーのローラが「世界の秘められた歴史および生きてそこから脱出する方法」って本を出している
信者からは賞賛されているけど、非信者からかなり酷評されてもいる
私は、非信者の酷評で同意しなくもないなってのが、内容が雑多であり、文脈に一貫性がないことである
その本の中で、なんかレスブリッジというダウザーのことや錬金術のことが唐突に出てくるんだが、コリン・ウィルソンの本に触発されて調べ始めたのかもしれない