両親は、生来のものではない人格特性・感情・機能タイプを子供に生得的であるかのように扱うことで、徐々に植え付けてしまう
また、両親は不安になり、子供の生得的な人格特性・感情・機能タイプに焦点を当て、誇張することもある
子供の分化の形成は、親が子ども自身の機能に焦点を当てること(一体性)よりも、親自身の機能に焦点を当てること(個体性)の能力に促進されるが、親の能力が子供の分化をもたらすのではない
子供のなす「べき」ことに焦点を合わせると、子供の家族からの情動分離は損なわれ、無責任が促進される
子供は自分で責任を取る代わりに、両親に反応して機能する
両親が子供から焦点を移し、彼ら自身の行為に責任を持つようになると、子供は自動的に独りで責任を引き受けるようになる
子どもたちは飼いならす必要のある野生動物ではない
人は他者に責任感や「分化」を「教え」ようとして、通常、これらについて「説得」しようとする
しかし、これは自己と他者の両者の分化を妨げる
なるほどねえ
両親と子供の間の分化が高い程、子供の両親に対する理想化や軽蔑は少なくなるだろう
親についての客観性は、自分自身についての客観性を促進する
ある母親は自分の「情動的不安定性」は、自分の母親が「情動的に放任」したせいだと思っていた
彼女は自分の問題を両親のせいにし、それは「正す」方法はわかっていると確信していた
彼女は自分の感情と、母親がこれらの感情を治すためになす「べき」だったことに焦点をあてた
彼女のこうした態度は自分自身の母親から情動分離を損ない、結果的に息子からの情動分離も損なうことになった
彼女は図らずも、自分が経験したよりも強い関係依存性を息子に助長してしまった
この臨床例にあるように、適切な「愛情」を与えることにこの母親の母親が「放任」していたり、失敗したために問題が生まれたとするこの母親の仮説は特に珍しくない
さらに、母親が「愛情」をふんだんに「与える」ことで情動的に健全な子供を育てることができるに違いないという仮説も特異な仮説ではない
本当に幼児を放任したり母性剥奪が生じて、子供が病気になる事例があったとしても、数%に過ぎないと思われる
大多数は母子未分化だと考えられる
母親の献身は、子供に、関係から多くの支援を「必要とする」ことを「プログラムし」、関係こそ内的な苦痛を解消すると「教えこむ」
子供は「愛情に依存する」ようになる
・別の例、子供が不安定な時、特に幼い時に適切な支えをしなかったり養育しなかったためだと母親が信じていることがある
今なすべきことについて心配することは、子供が彼女から分離することを損なわせる働きをする
問題は母親がしなかったことではない、十分にしてこなかったという彼女の感情こそが問題である
まるでエイブラハムが言ってるかのようなセリフだ
他者との関わりのなさに敏感な人は、子供時代に家族と最も深く関わりを持った人である
この関わりは著しい距離や葛藤を生み出すかもしれないが、情動的意味合いでは肯定的であろうと否定的であろうと、それも関わりであるということを認める必要がある
家族の基盤となる愛着を理解して共鳴する人もいるがそれを否定する人もいる
・母親が子供の感情や機嫌を心配するのと同じように、子供も母親のそれを心配するかもしれない
一般的に子供は情動的支えを求める母親の欲求に敏感であり、父親や他の成員が「適切に」その欲求を満たしていなければそれを感知する
・関係の情動的な色合いが否定的で分化レベルが低い時に、身体的虐待がかなり一般的に見られる
親が子供を身体的に虐待すると、子供の情動的発達に致命的な影響をもたらすが、子供の人生は身体的虐待そのものよりも、彼と親たちとの情動分離の欠如によって大きく影響される
身体的虐待を受けた人は虐待そのものの衝撃に焦点を当てるが、このような焦点化は特に建設的であるとは思えない
近親相姦についても同様のことが言える
・母子間の分化が高い程、その関係は子供の現実の欲求に支配される
母子間の分化が低い程、現実の欲求は不安・情動反応性・主観性に隠されてしまうだろう
子供が欲しているものと、母親が「子供が欲している」と思い込んでるものの差が大きくなる
・多くの場合、子供が親の不安に巻き込まれて成長するか否かは、子供の出生順位に左右される
「望まれた」子、「望まれない」子という家族物語と関係がない
長子、男児あるいは女児の第一子、末子は固有の順位としてしばしば家族不安の標的となる
「自由な精神の持ち主」という特徴の子供は、分化レベルが最も高く、両親の不安が同胞にかなり吸収されている時に現れる
家族に特異なストレスが加わった時期に生まれた子供は、母親にとって独特の意味合いを持つことがある
知的な遅れのある子供、口蓋裂や心臓病のような先天的欠陥のある子供は、不安の貯蔵庫になるかもしれない
息子の機能上の問題がしばしば彼の「遅れ」のせいにされる
しかし、実際には息子の機能上の問題は、家族との関係の特徴と重大な関連がある
言い換えれば、知的に遅れている人の中でも何人かは、他の人よりも分化が高いこともある
家族の中で焦点化された子供の同胞は、しばしばその焦点化をさらに際立たせるように機能する
「フォーカスしたものが拡大する」ってのは引き寄せの基本だからねえ
・配偶者に症状が出るのと同様、子供に症状が現れて、それが特に生命に関わるものであれば、不安は増大する
特に生命に関わるものでなければ、別の問題の強度を緩和することもある
・核家族の不安の上昇を決定する主な要素に、親の情動機能がある
親は、リーダーシップの責任を取ることのできる唯一の人である
「自由な精神の持ち主」は家族を穏やかにすることはできるが、家族家庭の基本的方向を変えることはできない
家族療法の原則では、依存する子どもたちよりも、親の方が家族の変化に責任を取ることが出きるとしている