死刑囚は二週間毎に死刑執行されるかどうかを言い渡される制度になっているそうだ
そういうわけで、死刑囚は生が二週間毎に区切られるような状態になる
そこで、死刑囚は妙にハイで躁気味、「時間が足りない」ということを言うのだそうである
一方で、無期囚は、のんべんだらりとした囚人生活が果てしなく続くような状態である(もちろん寿命という区切りはあるのだが)
そこで、無期囚はローで、自発性がなく看守の言うことに唯々諾々と服従するような心理状態になるのだそうだ
普通の人は無期囚の状態に近い
なーんか気分がローで、何かをやろうという気力も全然出ない、会社と家の往復、ルーチンワークをこなすだけ・・・みたいな精神状態を変えたいと思うなら、「二週間後に死ぬかも」とか考えてみたらいいのではなかろうか
というのが、題名から察せられるテーマの話だ
しかし、この本に載ってるサイコパス(?)の症例がおもしろかったので、むしろこちらを強調して紹介したい
詐欺を繰り返し、ある時詐欺がバレてそいつを殺して、逮捕された人の症例
逮捕収監されてから、扉をける・拒食・痙攣発作・自傷等の精神異常を起こし(拘禁反応)、入院
「ウウウ、アアア」という唸り声をあげて問答不能、連行中暴れたので、狂騒病連に入る
そこで、頭を壁にぶつけ、戸を叩き、言葉にならない叫び声をあげて、暴れる、その後静かになるも、午前一時頃突然仁王立ちになり何者かに対して憤怒し追いかけるかのごとく叫び暴れる
その後、急に仰向けに倒れ10秒程の強直性痙攣を二・三回起こす、1・2分後顔面を床に打ち付け額の擦過傷及び鼻血を起こす
保護衣を着せられ、3時に鎮静
翌日、児戯症、失語症の傾向を伴うガンザー症候群(ここではヒステリー的な子供返りと思えばいい)
そこで、麻酔分析をしてみると(平たく言えば自白剤)、子供っぽいのがなくなり「真犯人は誰誰で、自分は騙されただけで無実だ」と主張する
「君が殺したんだろ」と突っ込むと、狂暴な状態となる
あげくに「誰々に騙されるとは情けない」と泣き出す
数日後、また麻酔分析をしてみると、同様の結果
これが、迫真的な強烈さを示したので、患者の言うことが信頼でき、本当に騙されただけであるのでは、と受け持ち医は同情的になる
その後、電撃療法を2回やった後で、発語障害が消え、医者や看護人や他の患者と普通に話す
その時も、犯罪に話が及ぶと「自分はやってない」という、しかし細部を追求すると「忘れた」とかいう
そのような経過が有り、受け持ち医は「このような経過は得てして逃避的欺瞞的な願望に基づく、詐病に近い反応であるが、今回は例外だ。麻酔分析でこのように言ってるし、主張も一貫している。忘れたってのも心因性健忘ってのがあるからやむを得ない。また、事件の経過を細部にわたって書き綴った上申書もきちんとしている」と判断した
その後、受け持ち医は裁判所・検察からそいつの書類・物的証拠を見せてもらった所、全部嘘であったことが分かった
こいつは逮捕直後には自白したのだが、それから無罪を主張し始めたのである
等等
サイコパスは、普通の人間が嘘をつくというのとは異なった精神構造を持って嘘をつく
というのも、普通の人間だったら自白剤注射されたら本当のことをゲロってしまっただろうが、こいつは大丈夫だったのである
こういう連中は本当に心からの誠実さを持って嘘がつける、というの根本的に心が嘘そのものでできているからである
仮に悪魔がいたとして、その悪魔が真実を言ったとしたら、それこそウソだろう
悪魔は嘘ついて人を騙してこそホントウだ
まあ、こういう人種がいるんだということを知っておくと、この受け持ち医みたいな判断ミスをしないで済むのではなかろうか
残念ながら、スピ界は他の業界よりも詐欺師多いだろうからね